50 類
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第 50 類
絹及び絹織物
総 説
この類の解説については、11 部の総説を参照すること。
この類において「絹」とは、Bombyx mori(家蚕、桑で飼育される蚕)によって分泌される繊維
性物質だけでなく、野蚕と呼ばれる類似の虫(例えば、Bombyx textor)が分泌するものも含む。
種々の野蚕絹(めったに飼い慣らせない虫から採るので野蚕絹と呼ばれている。その中で最も重
要なものは、オークの葉を食する蚕から得られるtussah-silk(サク蚕絹)である。この類には
また、spider silk(くもの糸)及びmarine 又はbyssus silk(岩についているPinna 科のある
種の貝のフィラメント)も属する。
一般的にいえば、この類には、絹(絹に属する混用繊維を含む。)の原料から織物までの各段階
のものを含み、また、天然てぐすも含まれる。
50.01 繭(繰糸に適するものに限る。)
この項には、50.02 項に属する生糸となるような繰糸をすることができる繭のみが該当し、繰
糸に適しない繭は除かれる(50.03)。
繭は、通常白いが、黄色がかったもの、時には緑色がかったものがある。
50.02 生糸(よってないものに限る。)
生糸は、繭からフィラメントを繰糸することにより得られる。繭を形成しているフィラメント
は非常に細いので、実際には、生糸は繰糸工程において数本のフィラメント(通常4~20 本)を
抱合させることによって得られる(これらのフィラメントはガム質(セリシン)で覆われている
ために繰糸される際、相互にゆ着する)。この生糸のフィラメントは、繰糸の間に絡み合い、個々
のフィラメントの弱さを補強し、余分な水分を排除しつつ、均一な構造及び断面となる。この操
作によって、しばしば、フィラメントにいくらかのよりが生じる。ただし、この段階での生糸は、
よりは非常にわずかであり、50.04 項の単ねん糸と混同してはならない。生糸は、通常白いが、
黄色がかったもの、時には緑色がかったものがある。この項には、精練したもの(熱い石けん水
や希アルカリ等でセリシンを除去したもの)又は浸染したものも含まれるが、よったものは含ま
れない。生糸は、通常長いままで円錐ボビン又は種々の重量のかせに巻かれており、ゆるく結束
されている。
よった生糸は、この項から除かれる(50.04)。
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50.03 絹のくず(繰糸に適しない繭、糸くず及び反毛した繊維を含む。)
この項には、あらゆる種類の絹のくず(未加工の生のもの又は糸になるまでの工程の各段階の
もの)を含む。
これらには、次の物品を含む。
(A)原料から得られる絹のくず
(1)繰糸に適しない繭:フィラメントの破損で穴があき又は破れた繭(それ自身の蛾、寄
生虫又はその他の事故による損傷を受けたもの)、まだ破れてなくてもフィラメントがひ
どく損傷を受けており、繰糸工程の間に破れそうな繭、さなぎの有無にかかわらずひど
く汚れた繭等
(2)ブレーズ:蚕が繭を木の枝の一定のところに固定させるために張りめぐらす絹の網で、
そのフィラメントはもつれており不揃いな形状をしている。これらにはしばしば、小枝
や木の葉が混入している。
(B)繰糸工程で生ずる絹のくず
(1)フリゾン(フロスシルク):フリゾンとは、繭の外側を形成している粗雑な繊維に使用
される用語である。これは、繰糸する前に小さいブラシで取り除かれるもので、繰糸で
きる繭の部分を残して切りはなされる。これらは、もつれたまま糸のボール又は小束の
形状で市場に出される。
(2)繰糸工程中にきずが発見されて取り除かれた繭(“bassin1s”ともいう。)
(3)“pelettes”又は“tellettes”これは、繭の内部に形成される繰糸できない部分であ
って、まださなぎを包んでいる。“pelades”は、“pelettes”を温湯に浸し、さなぎを除
去し乾燥したものである。
(C)切断又は結節した糸及び繊維又は糸のもつれた塊
これらは、ねん糸、繰糸又は製織工程の際くずとして得られる。
(D)絹のくずを精練及びコームすることによって得られる物品(“schappe”ともいう。)
これらは、多少平行な繊維から構成されるシート又はラップ状のものであるが、加工の終
りの段階では、細いストリップ、トウ又はロープ状(スライバー又はロービング)に変えら
れる。まだ糸に紡がれていないこれらの形状のものは、この項に含まれる。これらには、単
糸とほとんど同じくらいに非常に細く引き延ばされ、通常は、極くわずかなよりがかけられ
ているロービングを含むが、50.05 項の糸と混同してはならない。
(E)絹ノイル
絹ノイルは、上記(D)の絹くずをコームするときに除かれるものであって、(D)の絹の
くずよりも劣等な品質であり、繊維が短く、それ以上コームすることはできないがカードす
ることはできるので、その他各種の紡績準備工程に使用される。このような方法で処理され
た絹ノイルは、それがまだ紡績糸の段階に達してない場合には、この項に含まれる。
(F)コーミングス
これらは絹ノイルをカードする際、除去される非常に短い繊維である。
(G)反毛した絹のぼろ
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絹織物又は絹製品のぼろ又はその他のくずをばらばらに引き裂くことによって得られる繊
維状のものである。
この項には、次の物品を含まない。
(a)脱脂綿及びウォッディング(30.05 又は56.01)
(b)絹のフロック、ダスト及びミルネップ(56.01)
(c)絹のぼろ(63 類)
50.04 絹糸(絹紡糸、絹紡紬(ちゅう)糸及び小売用にしたものを除く。)
この項には、50.02 項の生糸1本又は2本以上をより合わせて得られる絹ねん糸を含む。
ただし、小売用にしたもの(50.06)及びひも、綱等の規定に該当するもの(56.07)は含まな
い(11 部の総説(Ⅰ)(B)(2)及び(3)参照)。
この項の糸は、長いフィラメントで形成されるものであり、次の50.05 項に属する絹紡糸又は
絹紡紬(ちゅう)糸とは異なる。
この項には、次の物品を含む。
(1)単ねん糸(ポイルともいう):一本の生糸をよったもので、強ねんのものは、クレープポイ
ル、モスリン又はchiffon twist と呼ばれる。
(2)トラム糸:2本又はそれ以上の生糸をゆるくよったもので、絹織物のよこ糸に使用する。
(3)“crepe twist”:一般に強ねんのトラム糸をいう。
(4)オーガンヂー糸:かなり強くよられた生糸の2本又はそれ以上を引き揃え逆よりをかけて
1本の糸にしたものである。グレナジン糸(grenadine yarn)は、このオーガンヂー糸に更
に強いよりをかけたものである。これらは主にたて糸として使用される。
これらすべての糸は、精練又は仕上げ加工をしていてもよい。
この項には、56.04 項の絹の模造カットガットを含まない。
50.05 絹紡糸及び絹紡紬(ちゅう)糸(小売用にしたものを除く。)
この項には、50.03 項の絹ノイル又は絹のくずを紡績することによって製造される単糸及びそ
の単糸から作られるマルチプルヤーンを含む。
ただし、小売用にしたもの(50.06)及びひも、綱等の規定に該当するもの(56.07)は含まな
い(11 部の総説(Ⅰ)(B)(2)及び(3)参照)。
(A)絹紡糸(絹ノイル以外の絹のくずを紡いだもの)
絹ノイル以外の絹のくずを紡いだ絹紡糸は、前項の絹糸と異なり短繊維を紡いだものであ
る。これらの繊維は、約20 センチメートルの長さまでのもので、平行に並べられており、滑
らかさと絹特有の美しい光沢面を有していることから絹紡紬(ちゅう)糸と区別できる。
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(B)絹紡紬(ちゅう)糸(絹ノイルを紡いだもの)
絹紡紬(ちゅう)糸は、絹紡糸よりも品質が劣り、通常5センチメートル未満の不規則な
長さの繊維で構成されている。これらの繊維は単にカードされたのみでコームされていない
ため、通常ところどころにいくらかのもつれ及び小さな節を有している。したがって、他の
絹のくずを紡いだ絹紡糸のような均一性及び強さに欠け、表面はくすんでいる。
この項には、11 部の総説(Ⅰ)(B)(1)に規定する処理をしている糸も含む。
この項には、56.04 項の絹の模造カットガットを含まない。
50.06 絹糸、絹紡糸及び絹紡紬(ちゅう)糸(小売用にしたものに限る。)並びに天然てぐす
(A)絹糸、絹紡糸及び絹紡紬(ちゅう)糸
このグループには、50.04 項及び50.05 項の糸で小売用にしたもの、すなわち11 部の総説
(Ⅰ)(B)(3)に規定する条件に適合する形態のものを含む。
(B)天然てぐす
天然てぐすは、蚕が既に繭糸を紡出できる程度に成長した段階で、蚕を希酢酸液に浸して
殺し、その体の中の絹糸腺を摘出し、引き伸ばして得られるものである。天然てぐすは、し
なやかさ及びつやが馬毛よりも少ない。また、50 センチメートルを超える長さのものはほと
んどない。
この項には、次の物品を含まない。
(a)殺菌した天然てぐす(30.06)
(b)56.04 項の絹の模造カットガット
(c)釣針が取り付けられたり、釣糸として製品になっている天然てぐす(95.07)
50.07 絹織物
5007.10-絹ノイル織物
5007.20-その他の織物(絹又はそのくず(絹ノイルを除く。)の重量が全重量の85%以上のもの
に限る。)
5007.90-その他の織物
この項には、11 部の総説(Ⅰ)(c)に規定する織物で絹糸、絹ノイルその他の絹くず糸から
織ったものが含まれる。
この項には、次の物品を含む。
(1)羽二重、シャンタン、タッサーその他の東洋風の織物
(2)ちりめん
(3)モスリン、グレネジン(grenadine)、ボイル(voiles)等の透けて見える織物
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(4)タフタ(琥珀(こはく)織り)、サテン(朱子)、ファイユ(うね織り)、モアーレ及びダマ
スク等の密に織った織物
この項には、57 類から59 類までの織物(例えば、59.11 項のふるい布)を含まない。
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号の解説
5007.20
この号には絹又はそのくず(絹ノイルを除く。)の重量が全重量の85%以上の絹織物を含む。
ただし、85%には絹ノイルを含めてはならない。