牛の横隔膜と腹横筋の識別方法について
説明
横隔膜として申告された貨物について必要に応じ解凍検査を行うこととし、その検査方法(肉部の色の経時変化を肉眼で観察する方法)については、下記のとおりとしたので承知されたい。なお、鑑別が困難なものその他鑑別上疑義があるものについては、総括関税鑑査官まで連絡するものとする。
記
1.肉片を袋から取り出し、内部を覆っている皮、脂肪、筋膜等を完全に除去し、肉部分が空気と十分に触れるようにする。この場合、内部の色の経時変化の比較のため、皮、脂肪、筋膜等を除去しない部分を一部分残しておく。
なお、肉片を袋から取り出した時、すでに表面の変化が進んでいるものがあれば、下図のように切断し、新鮮な断面を新たに空気に触れさせる。
2.空気に1時間程度触れさせた後、皮、脂肪、筋膜等を完全に除去した内部の色と、これらを除去しない部分の肉部の色との経時変化を肉眼で観察する。
A.腹横筋は、冷蔵又は冷凍の状態では暗赤色を呈しているが、空気と接触するに従って、徐々に鮮紅色に変わり、やがて完全な鮮紅色を呈することとなる。
B.横隔膜は、冷蔵又は冷凍状態ではやはり暗赤色を呈しており、空気と接触してもほとんど色の変化がない。変化があるとしてもやや黒くなる程度である。
<参考>
1.冷凍のものについては、真空パック入りのものはそのままの状態で、又、むき出しのものはポリエチレン袋等プラスチックの袋に入れ密封した状態で冷蔵庫中に放置して解凍する方法が好ましいが、流水中につけて解凍しても差し支えない。
2.横隔膜の定義
横隔膜とは、呼吸筋(横紋筋中、骨格筋)の一種で胸腔と腹腔の境界を造るものである。なお、横隔膜の形状及びその各部は次のとおりである。
3.横隔膜及び腹横筋の位置
枝肉及び生体における位置は次のとおりである。
4.横隔膜筋部肋骨部と腹横筋の比較
横隔膜の筋部の肋骨部は腹横筋の形状と似ているので、念のため両者を比較すると次の
とおりである。