雁皮(第1404.90号-1)の適用範囲等について
説明
1.関税率表第1404.90号-1の雁皮の適用範囲
ジンチョウゲ科(Thynmelaeaceae)のガンピ属(Diplomorpha)及びアオガンピ属(Wikstroemin)のいずれかに該当するものをいう。
2.雁皮とミツマタ属との鑑別
ジンチョウゲ科に属するミツマタ属は、関税率表第1404.90号-4に分類されるが、上記1の雁皮との相違点は次のとおりである。
(1)表皮の外観において、ミツマタ属は軸方向に縦ジワを生ずるが、ガンピ2属は平滑であり、しばしば乾燥工程中に横ジワを生ずることがある。
(2)真皮の組織において、ミツマタ属は全米糖状の結晶を生ずるが、ガンピ2属にはこれが認められない。
(3)ミツマタ属は全て葉が互生であるが、アジア産のアオガンピ属は対生である。
3.サラゴの取扱い
(1)サラゴには、アオガンピ属とファレリア属の2属がある。このうち、アオガンピ属は上記1により雁皮に分類される。
ファレリア属は、上記1の2属とは属が異なるが、組織等の特性がガンピ2属と類似し
ており、実務上その識別が困難であることがら雁皮として取扱うこととする。
(2)なお、ミツマタ属は、フィリピン及び台湾には分布していないので、両国原産のサラゴは、原則として関税率表第1404.90号-1の雁皮として取扱って差し支えない。
両国以外、特にインドシナにはサラゴとミツマタ属が共に分布しているので、インドシ
ナ原産のものについては、それ故ミツマタ属との鑑別が必要となる。したがって、上記2の相違点の比較及び必要に応じその他の分析を行ってその分類を決定する。
(参考)
ジンチョウゲ科植物の分布表
日本在来のものフィリピン及び和紙原料となる
属名(和名)
台湾在来のものもの
Daphne (ジンチョウゲ属) ○ ○
Edgeworthia (ミツマタ属) ○ ○
Diplomorpha (ガンピ属) ○ ○(台湾のみ) ○
Wikstroemia (アオガンピ属) ○ ○ ○
Aquilaria ○ ○
Phaleria (ファレリア属) ○ ○
Gyrinopsis ○
Macyregorianthus ○
Pimelea ○
(注)1.Diplomorpha(ガンピ属)とWikstromia(アオガンビ属)を類別せずに、Wikstroemia(ガンピ属)とする説もある。
2.Diplomorphaは、日本に9種、中国に数種、他は台湾に1種をみるのみで、それ以
南の熱帯アジアにはない。
3.Wikstroemiaは、日本には2種あるのみで、台湾からフィリピン以南のオセアニア
に至る熱帯地方に広く分布する。
4.Edgeworthiaは、日本、中国に共通の1種、ヒマラヤに1種、インドシナに2種が
あり、フィリピン及び台湾にはない。