「原油」と「天然アスファルト」の区分について
説明
(1)「原油」と「天然アスファルト」の区分について考察するに、
イ.本邦に商業輸入されている原油のAPI比重は、10以上であり、世界の原油に関する文献値でも、API10未満のものは見当らない。また、API等の権威筋は、API1O以上を原油、10未満を非原油と位置付けている。
ロ.27.09項(原油)の関税率表解説は、「油層から得られるか又は歴青質鉱物の分解蒸留によって得られる」ものを同項に分類するとしている。
ハ.27.14項(天然アスファルト)の関税率表解説は、「かっ色又は黒色をした固定又は非常に粘ちょうな物質で、天然に産する炭化水素と不活性の無機鉱物質(アスファルトの場合は、相当量)との混合物」であるとしている。
ニ.さらに、原油と天然アスファルトの本質的な相違点は、軽質分(常圧留分)が少ないため、そのままでは、石油精製に適しないものかどうかにあると考えられる。この点に関し、文献値では、原油の常圧留分15%以上であり、石油技術者は、10%程度を目安と考えている。
(2)以上の点を勘案して、「原油」と「天然アスファルト」を区分し、後者を補足するためには、
次の要件を充足するか否かを確認することが適当と考えられる。
イ.API比重10未満であること
ロ.油層から得られるか又は歴青質鉱物の分解蒸留によって得られたものでないこと
ハ.常温で固形又は非常に粘ちょうな物質であること
ニ.そのままでは、石油精製に適しないこと(常圧留分10%を目安とする。ここにおける常圧留分はASTM D 1160に準拠した減圧蒸留測定法で留出したもので、常圧下、留出温度340℃以下に換算相当するものとする。)