繭の関税分類について
説明
(1)税番第5001.00号に該当する「繰糸に適する繭」の解釈
関税率表解説第50.01項には「この項には、第50.02項に分類される生糸となるような繰
糸をすることができる繭のみが該当し−−−−−−」と記されているが、ここでいう、繰糸に適する繭とは、自動繰糸に適する繭(以下「上繭」という。)のほか上繭から選除されたいわゆる選除繭のうち、比較的品質が良く繰糸可能な繭及び玉繭を含むものとする。
(2)税番第5003.00号に該当する「繰糸に適しない繭」の解釈
関税率表解説第50.03項には、繰糸に適しない繭とは「フィラメントの破損で穴があき又は破れた繭(それ自身の蛾、寄生虫又はその他の事故による損傷を受けたもの)、まだ破れてなくてもフィラメントがひどく損傷を受けており、繰糸工程の間に破れそうな繭、さなぎの有無にかかわらずひどく汚れた繭等」と記されているが、具体的には、別紙「くず繭(繰糸に適しない繭)の種類及び具体的選別基準について」に該当する繭(以下「くず繭」という。)とする。
(3)税番第5001.00号の繭と税番第5003.00号の繭が混合した繭の取扱い
第5001.10号の繭と第5003.00号の繭が混合した繭については、第5001.00号の繭と第
5003.00号の繭を、それぞれ、分離して分類する。
但し、第5003.00号に該当するくず繭と第5001.00号に該当する選除繭のうち、比較的品
質の良く繰糸可能な繭(玉繭を含む。)が混合した繭で、くず繭が主体となっており、かつ、全体がくず繭の用途(例えば、絹紡糸)に供する品質と認められるものについては、分離することなく、全体を一括して第5003.00号に分類する。
(別紙)
くず繭(繰糸に適しない繭)の種類及び具体的選別基準について
税番第5003.00号に該当するくず繭の種類及びその具体的選別基準は次のとおりとする。(1)内部汚染繭(死にごもり繭)
繭内で病死した蚕の体汁等で繭層が内部から汚染されたもので、次のものを対象とする。イ外観上汚染面積は小さいが、汚染がひどく内部の汚染が外部まで及んでいるもの(繭の一部が黒ずんでおり、蚕の死体が内層についていることが多く、繭を指でつまみ振っても、大半は音がしない。図1)
ロ内部の汚染が外面まで達していないが、汚染はかなりひどく、繭の外面が黒ずんでおり、汚染面積が繭層の1/3以上と広いもの(なお、必要に応じ、繭を切り確認するものとする。図2)
(図1) (図2)
(2)外部汚染繭(かび繭を含む)
他の繭内で病死した蚕の体汁等によって表層が汚染された繭及び乾燥不良等のためかびが発生した繭で、次のものを対象とする。
イ外観上の汚染面積は比較的小さいが汚染濃度がひどく、内部まで及んでいるもので、汚染部分を指で触れると柔らかいもの(図3)
ロ汚染がかなりひどいが、汚染が内部まで達していない繭で汚染面積が全表層の1/3以上と広いものく(図4)。なお、淡黄色、淡褐色等汚染の程度の軽いものは、たとえ汚染面積が広い場合であっても外部汚染繭とはしないものとする。
(図3) (図4)
(3)はふぬけ繭
繭の両端又は一端のはふ部(繭の端を言う。図5)の繭層が極端に薄くなって黒ずんでおり、指で軽く押すと簡単にへこむものを対象とする。
(図5)
(4)薄皮繭
蚕児の病気や給桑不足のため繭層が全面にわたり著しく薄くなっており、指で軽く押すとペコペコ音がしてへこむものを対象とする。
なお、薄皮繭は、煮繭しても綿状となり繰糸は不可能なものを対象とするので、煮繭により繰糸が可能となると認められるものは、薄皮繭とはしないものとする(図6)。
(図6)
(5)ぞく着繭
上ぞくの際のまぶしなどのあとが繭層にはっきり出ているもので、ぞくの種類により形は、大別して、くぼみ状、棒状、板状の3種類があるが、その種類により次のものを対象とする。イくぼみ状のものにおいては、面積は小さく食い込みの深いもの(図7)
ロ棒状、板状(偏平状)のものにおいては、その形がはっきり出ているもの(図8)
なお、ぞくの形状が不鮮明なものは、面積の大小にかかわらず、ぞく着繭とはしないものとする。(図7) (図8)
(6)奇形繭
正常繭(正常繭の形状は品種により異なるが、通常、俵形、楕円形、卵形、球形をしている。)に比べて、例えば、円すい状のおむすび形、いびつ不整形等その形状が著しく変わっているものを対象とする(図9)。
なお、奇形の程度が軽く、正常繭に近い形状の繭は、奇形繭とはしないものとする。
(図9)
(7)うきしわ繭
繭の外層のこう着が不充分なため繭のしわ(縮皺)が浮き上がり、綿状となっているもので、外繰部分をさわると柔らかく、繭を床に落としても硬い音を発しないものを対象とする(図10)。
(図10)
(8)穴あき繭
穴等により繭層が破損したもので、次のものを対象とする。
イ蚕児に寄生したウジバエが営繭後、蚕の蛹を倒し繭層を喰い破り出たため、直径1ミリメートル位の穴があいたもの(通常、蛆出繭という。図11)
ロ繭を食害する害虫のカツオブシムシ類により繭が喰い破られ穴があいたもの
ハ蚕種を取る目的で発蛾させたため、穴があいたもの(通常、出殻繭といい、蛾が出た穴が褐色に汚れている。図12)
ニ繭層歩合等の検査のため繭を切り蛸を取り出したもの(通常、切繭という。図13)
(図11) (図12) (図13)
(9)楊繭(あがり繭)
繭の不良のため又は取扱い不注意のため、繰糸の際に緒口が引き出しえなかった繭及び繰糸の途中で緒口が切れてふたたび緒口を引き出しえなかった繭を対象とする。
(10)つぶれ繭(プレスしたものを含む。)
つぶれた繭(1から9までのものを除く。)のうち、次のものを対象とする。
イ繭を振ったときカラカラと音がしないもの
ロ繭を振ったときカラカラと音がするもののうち、次のいずれかに該当するもの
(イ)平均乾繭単繭重が0.289g未満のもの
(ロ)平均乾繭単繭重が0.289g以上で、平均乾繭繭層重が0.148g未満のもの
(注1)「平均乾繭単繭重]とは乾繭1粒当たりの平均重量を、「平均乾繭繭層重」とは乾繭1粒当たりの平均繭層重量(繭から蛹及び脱皮毅を取り除いたもの)をい
う。
(注2)平均乾繭単繭重及び平均乾繭繭層重の測定は、毛羽を取り除いた後行うもの
とする。また、測定に当たっては、玉繭を除くものとする。
(注3)平均乾繭繭層重を測定する際に、菌内で病死した蚕の体汁等で繭層の内部が
汚染されていることが判明した繭については、(1)の「内部汚染繭」とみなす
こととし、平均乾繭繭層重の測定から除外する。
(注4)(2)のロにおいて、平均乾菌繭層重が誤差範囲内の物品であると認められる
ものについては、必要に応じ、繰糸試験により判定する。