ブリリアントカットしたyttrium aluminum garnet
説明
本品はアルミン酸イットリウム(通称yttrium aluminum garnet以下「YAG」という。)の単結晶をブリリアントカットしたものでDiamonair等と呼ばれている。YAGの単結晶は、酸化イットリウム(YO)と酸化アルミニウム(AlO)の融解液中にYAGの結晶核を入れ、この核にゆっく2323
りした回転を与え徐々に結晶を成長させながら引き上げるいわゆる“引き上げ法”により作られる。その組成はYAl(AlO)(又はYAlO)で示され、マンガンざくろ石(MNAl(SiO)又は
324335123243
MnAlSiO)のマンガン(Mn)がイットリウム(Y)で、また、けい素(Si)がアルミニウム(Al)32312
で置換された組成のものと考えることができる。純粋なYAGは無色透明であるが、これに少量の金属酸化物を含有させると各種の色彩を呈する。その結晶構造は天然ガーネットと同じガーネット型構造であり、物理的性質も次に示すとおり天然ガーネットに類似している。
YAG 天然ガーネット
結晶系等軸晶系等軸晶系
組成(一般式) Y・Al(AlO) A・B(SiO) *
423243
屈折率 1.833 1.71~1.83
硬 度 8.5 6.5~7.5
比 重 4.55 3.5~4.2
分散能 0.028 0.022~0.057
*Aは、Fe、Mn、Mg、Ca等の2価の金属を示す。
Bは、N、Fe、Cr、Ti等の3価の金属を示す。
YAGのうち、無色透明のものは装飾用ダイヤモンドの代用品として使用されており、少量のネオジムを含有する淡青色のものはレーザー光線発生用に使用されている。
関税率表解説第71.04項の説明文に合成貴石は「前の2項の天然の貴石又は半貴石と同じ目的に使用される。」、「通常天然石と同じ組成を有し、化学的方法で得られる。」と記載されている。
また、同解説第71類末尾の一覧表(第71.03項に該当する貴石又は半貴石)にはガーネットが貴石の例示として掲げられている。YAGは天然ガーネットと同じ組成を有するものではないが、その構造がガーネット型であることから鉱物学上合成ガーネットとして認められている。
合成ガーネットにはYAGのほかにYiG(YFe(FeO))、GdAl(AlO)等種々のものがあるが、そ32433243の性状がダイヤモンドに類似した合成貴石として身辺用品又は装飾品を作るために使用されているのは現在YAGのみである。さらにYAGは商取引、文献上も合成貴石として取り扱われている。以上のことからブリリアントカットしたYAGは本号に分類する。